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2009年02月22日(日) 18時44分

知ってる?「沽券にかかわる」の語源…答えはこれ読売新聞

津市の会社で見つかった、沽券税の領収証(左)がとじ込まれた「地租上納帳」

 「沽券(こけん)にかかわる」の語源になった沽券(土地の売買証文)に課せられた明治初期の「沽券税」の領収証が、津市一身田町の醤油(しょうゆ)製造会社「下津(しもづ)醤油」(下津和文社長)から見つかった。

 国税庁税務大学校税務情報センターは「沽券税の執行を示すものはこれまで確認されておらず、極めて貴重な史料」としている。

 沽券税は、廃藩置県に伴って明治政府が1873年(明治6年)に実施した地租改正に先立ち導入された。72年後半から、それまでは無税だった市街地の土地に沽券金(売買地価)の1%を課税した。

 見つかった領収証は73、74年に三重県が発行。73年のものには、下津家が所有する一身田町の2か所の土地に課税された地租6銭5厘と3銭8厘を、それぞれ6月と12月に分割して納付したことが記載され、県の領収印が押されていた。

 領収証は、課税状況などが記された「地租上納帳」にとじ込まれていた。下津社長がたんすにあった上納帳を税務署に持ち込み、領収証と確認された。

 沽券税は76年に課税基準が変わったため、わずか3年程度で廃止されたという。

 同センターの鈴木芳行研究調査員は、「沽券を持つことは当時の町人の誇りで、ここから品格や体面を表す『沽券にかかわる』との言葉が生まれた。下津家の上納帳がきれいなのは、その意識の名残だろう」と話している。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090222-OYT1T00127.htm