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2009年02月22日(日) 07時48分

受精卵取り違え、「なぜ」あまりに多く読売新聞

 香川県立中央病院(高松市)で起きた体外受精卵の取り違えでは、県が調査を進めているが、多くの疑問点が浮上している。

 ◆なぜ単独作業なのか◆

 川田清弥(かわだきよや)医師(61)は同病院で約1000例の体外受精を手がけたが、大半が単独作業だったという。同病院には胚(はい)培養士の資格を持つ臨床検査技師が3人おり、2人は体外受精も担当していた。取り違えがあった昨年9月18日も胚培養士は他の業務をしていた。

 ◆なぜ不安募ったか◆

 川田医師は21日の読売新聞の取材に「受精卵の成長の具合が良く、移植できると気持ちがはやった」と話した。しかし、「妊娠後の経過があまりにも順調過ぎ、疑問がわき起こった」(20日夜の記者会見)と、気持ちは変化したという。

 なぜ確証もないのに不安がそこまで募るのか。大阪市内で不妊治療を手がける西川吉伸医師は「受精卵や妊娠の状態だけから、別人のものと見分けるのは不可能。何をもって判断したのか、理解に苦しむ」と話す。

 ◆なぜ絨毛検査しなかったのか◆

 別人の受精卵を移植したという疑問が高まり、院長に報告したのは昨年10月31日。夫婦に伝えたのが11月7日。最終月経から数えて妊娠9週目だった。

 この時点で、胎児の親を確かめる手段としては、胎盤のもとになる絨毛(じゅうもう)を調べる方法があった。12〜18週に行う羊水検査に比べて技術的に難しく、流産のリスクが数%あるが、国内でも年間100件程度行われている。川田医師は「日本ではほとんど実施例がなく、危険」として提案しなかった。中絶後の胎児のDNAを調べることも、夫婦には提案していなかった。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090222-OYT1T00038.htm