麻生首相は23日夜に米国に向けて出発し、ワシントンで25日未明(現地時間24日午前)、オバマ米大統領と初の日米首脳会談を行う。
首相は、大統領が就任後に自国へ招く最初の外国首脳となる。会談では、日米同盟の強化を確認し、アフガニスタン・パキスタン支援や金融・経済危機に協力して取り組むことなどで合意する見通しだ。
首相は大統領に、北朝鮮による拉致被害者の救出運動のシンボル「ブルーリボン」バッジを手渡すことも検討している。
会談は、オバマ政権発足から約1か月という早さで設定された。大統領には、米議会で初の演説を行う直前の多忙な時期に当たる。
ワシントンの日米外交筋は米側の狙いについて、「米国は、金融危機対策や気候変動問題で欧州と主張が異なる。気候変動問題では、中国を国際社会の議論に取り込むことも必要だ。政策的に近く、世界第2位の経済力がある日本との同盟関係を明確にすることで、米国の立場を強固にし、こうした問題に取り組むのが目的だ」と語る。
米国で17日に成立した景気対策法は株価上昇につながっていない。大統領は1990年代の日本の「失われた10年」を教訓に金融危機に取り組む姿勢を示しており、「首相に説明し、理解を示してもらうことで、対策の正当性を米国民にアピールする思惑があるのではないか」(別の外交筋)という指摘も出ている。
一方、支持率低迷に悩む首相には、国内外に存在感を示す絶好の機会になる。周辺には、政権浮揚のきっかけにしたい思いが強い。訪米していた藪中三十二外務次官は22日、首相公邸で米側の状況を首相に説明した後、「オバマ政権が日米同盟を重視していることがひしひしと伝わってきた」と記者団に強調した。
ただ、外務省でも「外相会談の1週間後に首脳会談をやるなんて、思ってもみなかった」(幹部)という声が出ているように、今回の会談は時間を十分にかけて準備したわけではない。共同文書などの発表や首脳同士の会食は予定されておらず、夫人も同行しない。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090222-OYT1T00853.htm