【プーケット(タイ南部)22日共同=植田粧子】東南アジア諸国連合と日中韓(ASEANプラス3)の財務相会議が二十二日、タイのプーケット島で開かれ、急激な資金流出に見舞われた国に外貨を融通する通貨交換協定の枠を合計千二百億ドル(約十一兆二千億円)に増額することで合意、共同声明を発表した。
世界的な金融危機を受け、これまで計画していた八百億ドルの一・五倍に大幅拡大することで、通貨危機の再発を防ぐ効果を高める。
声明には、各国の経済情勢を監視する独立機関(サーベイランス・ユニット)創設を明記。国際通貨基金(IMF)が支援を行わない場合でも、経済監視に基づく独自の判断で資金支援できる割合を現在の20%から引き上げることを検討。独立機関が常設されれば、国際通貨基金(IMF)の地域版「アジア通貨基金(AMF)」に近づく。
また金融危機の打撃を緩和するため、アジア開発銀行(ADB)が重要な役割を担うとの認識を共有、加盟国と現在交渉中の増資に関し、早期合意を要請した。
ASEANと日中韓は、緊急時に外貨を融通し合う二国間協定を結んできた。これらを一つの多国間協定に衣替えすることで、より迅速に資金支援できるようにする。資金の分担割合は日中韓が八割、ASEANが二割。今回の合意を踏まえ、五月にインドネシア・バリ島で開く次回会議で、多国間協定について詳細な包括合意を目指す。
共同声明は、アジア地域の金融市場が不安定化していると指摘。資本流入が減少し「経済成長の下振れリスクとなりかねない」と懸念を表明し、各国に「断固たる政策行動」を促した。米国の「バイ・アメリカン条項」のような保護主義には強い反対姿勢を明示した。
財務相に就任したばかりの与謝野馨氏は欠席、末松信介財務政務官が代理出席した。