イランの医師に毒ガス被害者の最新治療法を伝えるため、広島の病理、呼吸器、皮膚、眼の専門医4人が3月2、3日、テヘランで医療セミナーを開く。大久野島(竹原市)の毒ガス製造工場の被害者を治療した世界でも貴重な経験を、イラン・イラク戦争(1980—88年)の被害者救済に役立てる。
イラン国内の患者は約5万人とみられ、現地の非政府組織(NGO)化学兵器被害者支援協会の要請で専門医4人が赴く。広島大大学院井内康輝教授(病理学)▽同木内良明教授(視覚病態学)▽広島県病院呼吸器内科の土井正男部長▽島根大医学部の森田栄伸教授(皮膚科)。全員が広島大で被害者を治療してた経験がある。
訪問団は今月28日、広島市東区の特定非営利活動法人(NPO法人)「モーストの会」のメンバー4人とともに出発する。2日のセミナーでは、現地の医師が診断した呼吸器、皮膚、角膜の後遺症の資料や画像を基に専門的な分析を加え、有効な治療法を助言する。3日は患者も参加する全体会議に臨む。