国際航空貨物の料金値上げでカルテルを結んでいたとして、公正取引委員会が独禁法違反(不当な取引制限)で日本通運、近鉄エクスプレス、郵船航空サービス(いずれも東京)の物流大手三社を含む十数社に、総額約百億円の課徴金納付命令と排除措置命令を出す方針を固め、各社に事前通知していたことが二十一日、分かった。
原油価格の高騰を背景に世界的な料金値上がりが続いたことから、欧州連合(EU)や米国などの独禁当局も調査している。公取委は事前通知に対する各社の意見を踏まえた上で、最終的な納付命令額を決める。
関係者によると、各社は二〇〇四年から〇七年ごろにかけ、航空会社が運賃に上乗せする燃油サーチャージや、空港の保安強化に伴うセキュリティーチャージを、そのまま国際航空貨物の料金に転嫁するカルテルを結び、実質的に競争を制限した疑い。
各社は業界団体「航空貨物運送協会」(東京)の国際部会などで値上げ幅を協議していたとみられる。〇七年にEUや米国が調査を始めたためカルテルは解消された。
物流各社は、航空機を保有しておらず、貨物を集荷して載せる「フォワーダー」と呼ばれる。EUなどは航空会社の運賃値上げもカルテル容疑で調べているが、日本は航空法で国際航空運賃を独禁法の適用除外としているため、調査対象にはなっていない。
国際航空貨物の市場規模は全体で年間約六千四百億円。うちフォワーダーの市場では大手三社のシェアが約50%を占める。公取委は昨年四月に物流各社を立ち入り検査していた。