「この計画ができないとハウステンボスは消える」。ホテル休館と従業員の削減計画が発表された佐世保市のハウステンボス(HTB)。20日の記者会見で、東園基宏社長は終始、神妙な表情で今後の経営計画などを説明、理解を求めた。入場者らからは「頑張ってほしい」と早期再建を願う声も聞かれた。
HTBによると、2008年度の入場者数は185万人と過去最少となる見込み。東園社長は、09年度も植物とともにある暮らしを提案した「ボタニカル(植物の)・リゾート」を引き続き進めると強調。「お客様がゆったりと、くつろげる滞在型リゾートを進化させる」と述べた。
3月には、場内に完成する太陽光発電設備(長崎次世代エネルギーパーク)が環境学習の場として魅力を増し、国内外の修学旅行の需要も見込まれるとした。
一方、金子知事は「県を代表する観光施設であり、しっかりと取り組んでもらいたい」との談話を発表。佐世保市商店街連合会の竹本慶三会長(59)は「市民全員で経営改善を応援し、早く元気な佐世保を取り戻したい」と激励した。
3年間のパスカードで入場している市内の主婦近藤和子さん(62)は「きれいな四季折々の花を見ると気分転換になる。ここがなくなったら寂しくなるので、もっと多くの人に来てもらいたい」と願っていた。
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ホテル休館や非正社員の削減などについて発表したHTBの東園基宏社長の記者会見での主なやり取りは次の通り。
——韓国人客に頼りすぎていたのではないか
「HTBは、国内の主要マーケットから遠い。日本人客を増やしていくのは、余程の投資をすれば別だが、持続させるのは現実的には難しい。その一方で、北部九州は韓国、台湾からの旅行客が多く、結果としてウエートが高くなった。これ以外の旅行客は求めにくい」
——国内の日帰り客の取り込みが不足していたのでは
「両方増やすべきだが、日帰り客向けに、次々に新しい売り物を作って、リピーターを増やすのは限界がある。可能な限りやるが、大マーケットの福岡市も景気後退している。簡単に観光客は動かない」
——自身の責任についてどう感じているのか
「こういう事態になり、従業員、関係者に対し、大変申し訳なく思っている。しかし、企業を存続させることが何より大事と思っている。示した施策がHTBの置かれた状況を表している。これができないとHTBの運命が消える。そうなると、市、県、九州全体に与える影響は言うまでもない」
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nagasaki/news/20090221-OYT8T00199.htm