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2009年02月21日(土) 00時00分

漫画の聖地 もっとPR読売新聞

トキワ荘 記念碑設置へ
トキワ荘跡地を示す看板。今のところ、看板以外にトキワ荘をPRするものはない

 手塚治虫、石ノ森章太郎、赤塚不二夫ら漫画家が下積み時代を過ごしたアパート「トキワ荘」。その跡地がある豊島区が、第一人者たちの功績を改めてPRする事業を始める。「これまで十分に地域振興に活用したとはいえない」(区文化観光課)という反省をふまえたもので、記念碑を設置するほか、企画展を開くなどして“漫画の聖地”の復権を目指す。(横溝崇)

 南長崎3にあったトキワ荘は、1953年の手塚さん入居以降、若手漫画家が相次いで住み、腕を磨いた。82年に老朽化のため取り壊され、今は別の建物が立つ。

 トキワ荘出身者については、兵庫県宝塚市などゆかりの各自治体が相次いで記念館やミュージアムを建設。これに対し、豊島区はこれまで、郷土資料館で展示会などは開いてきたものの、「活躍した漫画家があまりに多く、財政的な事情もあって、その業績を紹介し切れない」という理由で専門の施設を設けてこなかった。

 しかし、2007年12月に地元町会から記念碑設置を求める要望書を受けたことから、約620万円をかけて記念碑を完成させた。高さ1メートル70、横1メートル30。取り壊し前の写真や、当時の住人の話をもとに復元したトキワ荘のミニチュアが台にのったデザインで、漫画家10人が描いた自画像とサインも刻まれている。区では「これだけそうそうたるメンバーの自画像がそろうのは、全国でもまれでは」。記念碑はトキワ荘跡近くの公園に設置されることになっており、4月に除幕式が行われてお披露目される。

 区はまた、10月末にトキワ荘の部屋を再現し、赤塚さんらが寄せ書きしたふすまを展示する企画展を予定している。「漫画のキャラクターとは別に、作者の生き方に着目した、豊島区ならではの方法で魅力を伝えていきたい」という。

 このほか、手塚さんがトキワ荘を出た後、54年から住んでいたアパートで、現存する「並木ハウス」(雑司が谷3)の周辺についても、手塚さんの存在をアピールできる街づくりが可能かどうかを調べる方針だ。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyo23/news/20090221-OYT8T00106.htm