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2009年02月21日(土) 00時00分

「羽田に航空博物館を」20年読売新聞

推進団体、陳情や署名活動
戦時中に使われた零戦のエンジンを見学する人たち(昨年10月、羽田航空宇宙科学館推進会議提供)

 羽田空港周辺に航空博物館をつくろうと活動している民間団体「羽田航空宇宙科学館推進会議」(幸尾治朗会長)が、3月に設立20周年を迎える。昨年は、大田区が策定した滑走路跡地の利用計画に科学館建設が初めて盛り込まれた。高橋暢也副会長らは「長い活動の成果。今後に弾みがつく」と期待している。

 同会議は、国内に初めて導入されたジェット旅客機「DC—8」の保存運動にかかわっていたグループを母体に、1989年に発足した。会員は、航空関係者やファンら約160人。博物館建設を求める陳情や署名活動を行い、国際航空宇宙展や羽田空港で空の日フェスティバルに出展するなどしている。

 大田区は、2010年の羽田空港国際化や11年の開港80周年をにらんで、空港の沖合拡張によって生じた滑走路跡地(国有地)の活用計画を策定。その中に、博物館の建設も盛り込まれた。同会議は「自分たちが見たいものを一堂に集めよう」と博物館の規模や展示内容を検討してきたが、バブル崩壊や不況などもあり、計画が進んでこなかっただけに、同会議メンバーは「夢の実現に一歩近づいた」と声を弾ませる。

 博物館では、航空機やエンジンの実物、写真や資料を展示することを想定。国内には、戦後初の国産旅客機YS—11など、保存されていながら展示スペースがないため、一般の目に触れることのない「航空遺産」がたくさんあるという。高橋副会長は「博物館の建設で、これらの遺産を活用できる」と話している。

 展示を通じて、国産飛行機の製作の歴史のほか、羽田空港の発展と、米軍占領下で行われた周辺住民の強制立ち退きなど、「次世代に歴史を継承していきたい」(高橋副会長)という。

 同会議の大河義一事務局長は「次代を担う子供たちが飛行機に関心を持つことにより、日本の航空産業の発展につながってくれれば」と話している。(佐々木大輔)

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyo23/news/20090221-OYT8T00110.htm