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2009年02月21日(土) 00時00分

50歳元SE「年齢ネック」読売新聞

契約打ち切り…不採用続く日々

 急速な景気の悪化で雇用不安が広がる中、不利な立場に追いやられることが多い中高年を対象にした合同就職面接会が20日、三鷹市の三鷹産業プラザ(下連雀3)で開かれた。36〜76歳の85人が訪れ、参加した企業14社のブースで職歴などを懸命にアピールした。契約半ばで打ち切られた元システムエンジニア(SE)の男性(50)が取材に応じ、なかなか職が見つからない窮状を訴えた。

(大野潤三)

ソフトウエア会社の担当者と面接する53歳の元会社員の男性(左)。取材に「住宅ローンが30年も残っている」と話した

 「これまで手がけた仕事の話をきちんと聞いてもらえた」。昨年9月、ソフトウエア開発会社の契約を突然打ち切られたこの男性は、同業種の企業の面接を終え、満足げな表情を浮かべた。

 男性は大手電機メーカーに派遣され、官公庁のシステム開発を担当した。上司から「今月で辞めてほしい」という電話が掛かってきたのは9月中旬。契約期間を半年余りも残しての“解雇通告”だった。「何か落ち度がありましたか」と尋ねると、「仕事がないから仕方がない」とつれない答えが返ってきた。

 国立大の大学院を卒業し、SEのキャリアは20年を超える。契約社員として複数の企業を渡り歩いてきた経験から、それでも「なんとかなるはず」という自信があった。

 ところが、SEの求人は「5年前の5分の1以下」(男性)と激減していた。米大手証券会社リーマン・ブラザーズの破綻(はたん)を引き金にした金融危機の影響で、急速に景気が落ち込んでいた。

 わずかな求人枠を狙って14社の契約社員の採用試験を受けたが、すべて不採用。「年齢が引っ掛かった」と、企業の人事担当者が話すのを人づてに聞いたこともある。失業給付の受給期間も終わり、今は収入がない。家族はいないが、貯金を切り崩して、月12万円ほどの生活費を捻出(ねんしゅつ)している。「4月には貯金が底をつく」。そう漏らした男性は、SEにこだわらずに今後も職探しを続けるという。

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 合同面接会は、厚生労働省の許可を受け、中高年の職業紹介を行う「わくわくサポート三鷹」が主催。求人枠計136人のうち警備員の39人が最多。マンションや病院の清掃作業員の35人、ディーラーに新車を運ぶ運転手の20人が続いた。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyo23/news/20090221-OYT8T00112.htm