イタリアで開かれた先進7か国財務相・中央銀行総裁会議(G7)閉幕後、もうろう会見をした中川昭一前財務相(55)が、会見直前の日ロ財務相会談でも、もうろうとした状態で受け答えしていたことが19日、分かった。同席者も「頭のスイッチが切れていたようだ」と漏らす。当初、中川氏は醜態会見の原因を「体調不良」と強調していたが、3日間の日程で少なくとも5回は飲酒しており、“酒漬け外交”との批判は避けられなくなってきた。
中川氏はG7閉幕後の醜態会見の約1時間前には既に“できあがっていた”ようだ。ロシアのアレクセイ・クドリン副首相兼財務相(47)との日ロ財務相会談は、現地時間の14日午後2時50分から約15分、宿泊ホテル内で行われた。在ローマの消息筋によると、中川氏は会談内でもうろうとした状態で受け答えしていたという。
中川氏は当初から大変疲れた様子で、健康を害しているようにも見え、同席したロシアの外交官は「ひどい時差ぼけに苦しんでいるのでは」と思った一方で、「頭のスイッチが切れたようだった」とも語ったという。
クドリン氏との応答でも、しばらく目をつぶって考え込み、長い間反応がなく、また、麻生太郎首相(68)を「麻生大臣」と言い間違えた。おかしな様子や言動の不安定さが続く泥酔状態を思わせる中川氏の表情に、クドリン氏も不思議そうな顔をしていたという。
当時の中川氏の発言については、ロシア側は通訳を通じてしか分からず、明確な間違いがあったかどうかは不明だったが、財務省は「会話は成立していた」としている。そして、会談終了から40分後に国辱ものの会見を繰り広げることになる。
中川氏は出発した13日から帰国した15日まで最低でも計5回は飲酒していた事実が明るみに出た。ローマに向かう機内から飲み始め、“事件”が起きた14日はG7の昼食会で「ワインに口を付けた」(中川氏)だけで途中退席した。財務省幹部や女性記者らとホテル内のレストランでの会食で5回目の飲酒。自らワインを注文し、再び「口を付けた」(同)程度だったが、酒席は会談開始5分前まで続いた。
19日の衆院予算委で、麻布高、東大法学部で中川氏の同窓で、同行した財務省の玉木林太郎国際局長は「中川氏の体調が優れない印象を持ったのは日ロ財務相会談」と答弁している。
当初「風邪薬の大量服用。体調不良だった」と釈明していたが、“酒漬け外交”が発覚し、会見後に体調が悪いにもかかわらず、バチカン観光を強行した中川氏。政治家の資質を問われる言動を続けたことで、波紋が広がれば、大臣の職だけでなく、議員バッジも失う事態にも発展する恐れも出てきた。
(2009年2月21日06時02分 スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090221-OHT1T00038.htm