警視庁南千住署は19日深夜、覆面プロレスラーで元岩手県議のザ・グレート・サスケ(本名・村川政徳)容疑者(39)を暴行の現行犯で逮捕した。サスケ容疑者は電車内で乗客に携帯電話のカメラで撮影されたことに腹を立て、蹴るなどした疑い。マスクを一時的に没収されたサスケ容疑者は「オレにも肖像権はある」と供述している。所属事務所は活動を当面、自粛させる方針を明かした。
リングではもちろん、県議会でも決してマスクを脱ぐことのなかった覆面男は、逮捕されて留置されることで「命」をはぎ取られた。
南千住署によると、逮捕容疑は19日午後11時50分ごろ、東京都内のJR常磐線「北千住駅—南千住駅」間の車内で、東京都荒川区の男性会社員(36)の携帯電話を投げつけた上、胸ぐらをつかんだり、蹴ったりした疑い。駆けつけた同署員に現行犯逮捕された。規則により、留置所ではマスクが「一時預かり」となった。
休養日だったサスケ容疑者は、南千住駅近辺に住む友人宅を訪ねるため乗車した。黒地に緑・赤・白のラインが入ったマスクをかぶり、背中にデカデカと「みちのくプロレス」とプリントされた黒いジャージーを着て車内に立っていると、着席していた被害者が携帯電話で撮影してきたため「やめろ」と注意。それでも被害者が撮影を続けたため、電話を取り上げて車内の床に叩きつけてバラバラにした(電池パックとふたが取れたが、故障はせず)。さらに、両手で胸ぐらをつかんで前後に揺さぶりドアに押しつけると、左ひざに右ローキックを見舞った。ネックレスを引きちぎったとの情報もある。
調べに対し、サスケ容疑者は「興奮していたため、記憶はあいまいだ。もみ合いになったが、暴行はしていない。オレにも肖像権がある」と供述している。当初は「ザ・グレート・サスケだ」と名乗りながらも、住所や本名については黙秘。「詳細については弁護士を通じて話してほしい」として署名や押印にも応じていなかったが、夜になって弁護士の接見を受けた際には、反省と謝罪の意思を示したという。被害者は「無断で撮影したのは申し訳ないが、厳罰に処してほしい」と話しているという。
面会した所属事務所「アルファ・ジャパンプロモーション」の荒井英夫社長は「プロレスラーで、県議も経験した人間が(一般人の)胸ぐらをつかむなんて絶対にしてはいけないこと。お互いにモラルを欠いた出来事。早く解決して問題を終わらせたい」と話している。処分については「当分の間は活動を自粛させます」とした。
◆弘中弁護士接見「あなたが悪い」 ○…担当の弘中惇一郎弁護士(63)が20日夜、南千住署内のサスケ容疑者を接見し「発端は同情に値するけど、手を出すことが許されるわけではない。本人も反省してる。『早く被害者の方に会っておわびしたい』と話している」と代弁。故・三浦和義氏の担当を務めるなど敏腕弁護士として知られる弘中氏は警察の調べに対して謝罪の言葉のなかった容疑者に「あなたは格闘家なんだからリングでしか手は出しちゃいけない。あなたが悪い」と諭したという。
(2009年2月21日06時02分 スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090221-OHT1T00035.htm