愛知県西尾市の土地利用をめぐる汚職事件で、受託収賄容疑で名古屋地検特捜部に逮捕された同市長中村晃毅容疑者(71)が、市長就任後に市に提出した資産報告書などで借入金を「ゼロ」と報告していたことが分かった。中村容疑者は受け取った600万円をすべて借入金と説明して容疑を否認しているが、現金のやりとりがあった期間の報告書にも借入金の記載はなく、説明に矛盾が生じている。
同市は「政治倫理確立のための西尾市長の資産等の公開に関する条例」で、市長に任期開始時点で所有する資産や貸付金、借入金などを報告するよう義務付けている。その後も毎年12月31日現在で、変更分を補充報告書にまとめて、翌年4月に提出することになっている。
中村容疑者が提出した資産等報告書などによると、中村容疑者は市長に就任した2005年9月時点の借入金を「0円」と報告。その後の補充報告書にも借入金の欄に記載はなく、07年12月31日現在でも借入金ゼロとしていた。
中村容疑者は、贈賄容疑で逮捕された人材派遣会社「大成閣」=愛知県吉良町=社長村田英紀容疑者(67)らから、06年10月に300万円、07年2月と3月に計300万円を受け取ったとされる。
中村容疑者は、これらの金を「借りた金で、その後に返却した」と説明しているが、関係者によると、返済は07年秋とされる。
わいろでなく借入金だったとの説明が事実とすれば、少なくとも06年12月時点では、300万円の借入金を補充報告書に記載する義務があったことになる。
(中日新聞)