香川県立中央病院(高松市)の受精卵取り違え事故で、産婦人科の川田清弥医師(61)が昨年9月、20代女性に移植する受精卵の生育状況をみるために作業台に複数の培養容器(シャーレ)を並べた際、先に置いてあった別の患者の容器のふたを捨てていたことが21日、分かった。
当時、患者の名前が書かれたシールはふたに張られているだけで、容器本体に識別できる手がかりはなかった。川田医師は「ふたが開いていたから(容器の違いが)分からなくなった」と説明。ふたの廃棄がミスを誘発した可能性がありそうだ。
同病院の幹部は「不要になったシャーレのふたは日常的に捨てていた」と説明している。川田医師は「捨てるものだから捨てた」と話した。
一般的に体外受精を実施する施設では、ミス防止のため容器を色分けしたり、ふたと本体両方に名前を書くなどの対策が取られている。
同病院は今回の事故を受け、同様のチェック態勢を明文化したマニュアルを作成した。