記事登録
2009年02月21日(土) 08時33分

クジラに悪影響と専門委 日本出資のサハリン2東京新聞

 三井物産と三菱商事が出資しているロシア極東・サハリン島北東部のエネルギー資源開発事業「サハリン2」による資源探査や航行船舶の増加で、絶滅の恐れが極めて高いニシコククジラの生息に悪影響を与えることが懸念されるとの報告書を、国際自然保護連合(IUCN)の専門家委員会が21日までにまとめた。

 委員会は、事業主体のサハリンエナジー側が、当初の約束通りの十分なデータを提供していないことを非難。サハリン2の近くの餌場にニシコククジラが集まる7月から10月にかけて、害を与える恐れがある活動を一時的に停止することなどを勧告した。

 サハリン2の液化天然ガス(LNG)の約6割は日本向けで、生産を開始したばかり。環境保護団体は、事業への批判を強めている。

 委員会は2008年夏、周辺海域でのニシコククジラの分布状況などがこれまでと変わっており、これがサハリン2などの活動と関連している可能性があることや、地震波を使った資源探査が、餌を取る行動などに悪影響を与える懸念があることを指摘。

 影響を評価するために必要な、地震探査の計画や実施状況などのデータを、サハリンエナジー側が提供していないために適切な評価ができていないと批判している。

 専門家委員会は、サハリン2がニシコククジラに与える影響の評価や対策を検討するために設立され、米ロなどの生物学者や海洋学者が加わっている。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009022101000077.html