名古屋港で今月、アフガニスタン向け貨物の中から麻薬原料となる無水酢酸約1トンが見つかった事件で、愛知県内で中古車輸出会社を経営するパキスタン国籍の男(46)が密輸を図った疑いが強まり、愛知県警は20日までに、関税法違反(無許可輸出)の疑いで男を指名手配した。
無水酢酸は、輸出申告書類などから、パキスタン経由でアフガニスタン南部カンダハルに輸出する計画だったとみられる。パキスタン国籍の男は既にパキスタンに帰国したとの情報があり、県警は近く国際手配するとともに、中古車輸出会社の従業員数人が無許可輸出にかかわったとみて行方を追っている。
無水酢酸は今月12日、名古屋港で輸出用コンテナの中にポリタンク約50個に分けて隠されているのを税関職員が発見。県警などの調べで、パキスタン人の男がパキスタン経由でアフガニスタンに輸出しようとした疑いが強まり、県警と税関が13日、関税法違反容疑で、男が経営する愛知県武豊町の中古車輸出会社を家宅捜索した。
登記簿によると、中古車輸出会社は2006年設立。近くで働く男性は「会社には日本人男性や複数の外国人が出入りしたり、働いたりしていた。最近は門が閉まったままで、人の姿を見かけなくなった」と話した。