「裁判員」教材に授業で模擬体験教研集会報告 広島市で21日に開幕した日本教職員組合(日教組)の教育研究全国集会で、今年5月から始まる裁判員裁判を“教材”にした授業の例が報告された。生徒に「考える力」を身に着けさせる試みとして、各地で行われているという。
岩手県岩泉町立小本中学では2006年から、授業の中で裁判員制度による模擬裁判を行っている。3年生20人を対象に行った授業では、実際にあった安楽死事件を取り上げた。
授業への協力を申し出てくれた本物の弁護士が裁判官役、生徒が裁判員役となり、被告人が有罪か無罪かを議論。最初は、患者の家族が医師に安楽死を要望していたことを理由に無罪だとする生徒が多かったが、「家族の要望があればいいのか」「患者自身の意思は無視していいのか」などの意見が出て、最後は半数以上が有罪を選んだという。
この事例を報告した同中の熊谷貴典教諭(35)は、「人の意見を尊重しながら自分の考えをまとめ、結論を出す。考える力を養う訓練になっている」と、授業の効果を語った。
集会では、同様に裁判員裁判を授業に取り入れている北海道、東北、九州地方の社会科教師からも、「命の大切さを考える子どもが増えてきた」「やる気を引き出す教材になっている」などの報告が相次いだ。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090221-OYT1T00765.htm