地球儀に金属バット、携帯音楽プレーヤー、そしてDVDプレーヤー——。昨年7月の裏金調査で「不正はない」といったんは結論づけた熊本県で20日、1億円に上る不正経理が判明した。
公費で次々と常識はずれの品々が購入されていた実態が明らかとなり、県幹部も「仕事と関係があるとは思えない品ばかり」と苦渋の色を深めた。
県が「業務と関係がないと思われる」と判断した物品は、知事部局では14部署で68点(約230万円分)が購入されていた。
最も多かったのが、球磨地域振興局(熊本県人吉市)の農地整備課。ソフトボール用の金属バットや地球儀、冷蔵庫、ビデオカメラ、ミニコンポ、携帯音楽プレーヤー、DVDプレーヤー、スポーツウエアなど39点に上った。購入額は約210万円で、知事部局全体の9割を占める突出ぶりで、公金への意識の欠如が際だっていた。
政教分離の観点から支出が認められていない神事用に、焼酎(720ミリ・リットル)6本も購入していた。
いずれも2003〜04年度に、農地整備などに対する国庫補助事業の事務費の残額を使い、主に複数の業者にコピー用紙や印刷用インクを発注したように装って購入していた。
これらの物品は、同課以外の職員も使っていた。県の聞き取りに対し、職員らは「バットは職員同士の親睦(しんぼく)に使った。地球儀は机に置いて眺めていた。携帯音楽プレーヤーは会議の録音用」などと説明したという。ほとんどの物品が、職員の私有物のように自宅や異動先の職場に持ち込まれていたという。
井手義隆局長は「仕事と無関係と思える物品も多い。県民に説明がつかず、おわびしたい」と肩を落とした。
知事部局のほかの部署では、携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」や、職員個人の名前が入った印鑑、香典袋などを購入しており、県は業務との関連性を検討したうえで、無関係と判断した場合は物品や費用の返還を求める方針。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090221-OYT1T00578.htm