ノースウエスト航空ジャンボ機の乱気流事故で、同機が乱気流に巻き込まれたことや、乗客がけがをしたことを到着先の成田空港の管制官に連絡せず、緊急事態(エマージェンシー)を宣言しないまま通常着陸していたことが二十日、国土交通省成田空港事務所の調べで分かった。
千葉県成田市消防本部によると、救急搬送はジャンボ機到着後の二十日午後一時ごろから同四時ごろまでかかった。負傷者は四十三人で、うち一人は首の骨を折る重傷。成田国際空港会社によると、負傷者には乗員も含まれているという。
エマージェンシーを宣言しなかったことが搬送遅れにつながっており、航空会社の対応が問題となりそうだ。
国交省は航空事故と認定し、運輸安全委員会は調査官三人を現地に派遣、事故原因の解明を始めた。千葉県警も近く、機長や乗員らから事情を聴く方針。
エマージェンシーは(1)機体のトラブル(2)重病人の発生(3)燃料不足—などの際、管制官に宣言すると近隣の空港に優先的に着陸することができる。
今回のようなケースではエマージェンシーを宣言し、上空から救急搬送を手配するのが通常だが、宣言は機長の判断に委ねられているため、宣言しなくても法令や規則に違反しない。
成田空港事務所などによると、ジャンボ機が着陸したのは午後零時十九分。乱気流に巻き込まれたのは約三十分前の午前十一時五十分ごろとみられ、銚子沖には午前十一時ごろから低気圧通過に伴う積乱雲が発生、周辺の航空機はこれを避けて運航する状況だった。
ジャンボ機が乱気流に巻き込まれた当時、ほかに数機の航空機が上空で待機中だったという。
ノースウエスト航空によると、事故発生時、シートベルト着用を指示するランプは表示されていたという。