不妊治療患者の受精卵取り違え事故を起こした香川県立中央病院(高松市)が、ミスが判明した昨年十月以降、医療安全の向上を目的に国の制度で求められている医療事故報告を全くしていないことが二十日、分かった。
厚生労働省や日本医師会が出資する「財団法人日本医療機能評価機構」(東京)の制度で、報告は具体的な医療事故を収集して背景分析し、再発防止に役立てるのが狙い。
発生から二週間以内の報告が求められるが、病院側は受精卵取り違えや二十代女性が受けた中絶処置について「報告事例に該当しないと判断し報告しなかった」と説明している。
同機構は「法的な拘束力はないが、制度に参加した以上、報告義務を果たしてほしい」としている。
病院事務局によると、産婦人科の
同機構の報告制度は二〇〇四年に開始。医療法で報告義務がある国立病院や大学病院など二百七十三施設に加え、任意で参加した香川県立中央病院など二百七十九の医療機関に報告を求めている。
厚労省医療安全推進対策室は「制度は処分を目的としたものではなく再発防止が目的。できるだけ幅広く報告してほしい」と話している。