麻生政権の支持率低迷と相次ぐ失策に、自民党の若手・中堅議員が不満や危機感を募らせている。
「嫌麻生」とも言うべき空気が広がる中、中川昭一前財務・金融相の辞任で「首相に見切りをつけた」(津島派若手)という議員が増え、「麻生降ろし」で独自候補擁立を模索する動きもある。だが、党執行部は衆院解散をちらつかせて引き締めを強める構えで、たまった「マグマ」が噴き出すかどうかは不透明だ。
◆地元の突き上げ
当選1回の平将明衆院議員(山崎派)は21日夕、東京都大田区内での街頭演説で、「首相はこれだけ批判が高まっているのだから謙虚に反省してほしい。2009年度予算が通ったら、総裁選を前倒しして将来像を示した上で衆院を解散し、国民の信を問うべきだ」と、首相の「4月退陣」を暗に求めた。
若手・中堅の間でこうした反発が強まる背景には、選挙基盤が弱く、選挙区を頻繁に回ることで有権者から突き上げを受ける機会が多いため、政権批判に敏感になっていることがある。
千葉県の当選1回の衆院議員は21日、支持者から中川氏の辞任などを厳しく批判された末に、「次の選挙でダメでもあきらめないでね」とまで言われた。「政策ならいくらでも説明できるのに、個人的な問題への批判だからどうしようもない」と嘆いた。
◆20人集めたい
「ポスト麻生」については、与謝野財務・金融・経済財政相や舛添厚生労働相、石原伸晃幹事長代理らへの期待感がある一方で、若手では河野太郎衆院議員らの名前が挙がっている。首相に批判的な若手・中堅議員は「国民本位の政治を実現する会」などのグループを結成している。自民党総裁選の立候補には20人の推薦人が必要となるため、若手からの擁立に向け、これらのグループをもとに20人を超える規模の新グループを目指す動きもある。
◆やり過ぎるな
これに対し、首相に近い菅義偉選挙対策副委員長は18日夜、2005年衆院選で初当選した「小泉チルドレン」らが都内で会合を開くと聞きつけて会場に乗り込み、「首相を追いつめるな。やり過ぎたら今すぐ解散するぞ」とけん制した。執行部の一人は「『麻生降ろし』に加わったら選挙資金を配らない」との脅しもかけ、別の党幹部は「東京で集まる暇があったら選挙区をもっと回れと言いたい」と憤る。
首相は政権運営に強い意欲を見せており、「麻生降ろし」は難しいとの見方はなお根強い。昨年の総裁選で棚橋泰文・元科学技術相と山本一太参院議員が推薦人を集められずに出馬できなかったことから、「若手には何もできない」(ベテラン)と冷ややかな声もあがっている。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090221-OYT1T00914.htm