【ローマ=松浦一樹】ローマで開かれた先進7か国財務相・中央銀行総裁会議(G7)終了後の記者会見で失態を演じ、辞任した中川昭一前財務・金融相が記者会見直後に観光で訪れたバチカン博物館で、貴重な展示品を手で触るなどの非常識な行動をしていたことが20日わかった。
関係者によると、中川氏は14日夕、財務省幹部や上野景文・駐バチカン大使、安藤裕康・駐イタリア大使らとともにミケランジェロの彫刻「ピエタ」などで有名なバチカン博物館を約2時間、バチカン関係者の案内で見学した。その間、複数の展示品に手で触り、ある彫刻作品を見ていた際には後方にふらふら回って近づき過ぎ、警報機が鳴ったという。
同行者の一人は、見学中の中川氏が「くたびれた様子だった」といい、別の同行者は「あまり静かな訪問でなかった」と認める。上野大使は「それほど問題はなかったと思う」と語り、案内役のバチカン関係者も「抗議が必要なほどではなかった」と話している。
バチカン博物館は、ローマ法王庁が管理する各種美術展示施設の総称で、コンクラーベ(法王選挙)の会場として知られるシスティーナ礼拝堂、サンピエトロ大聖堂などが含まれる。日本人観光客に人気で、法王庁は国外から訪れる要人のために、特別の見学コースを用意することもある。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090221-OYT1T00338.htm