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2009年02月21日(土) 23時14分

東久留米も東京消防庁委託へ読売新聞

自治体消防 稲城のみに
東京消防庁委託を前に、改修が行われる東久留米市消防本部

 都内(島部を除く)で、消防業務を東京消防庁に委託しないで、自治体独自の消防本部を持っているのは、東久留米市と稲城市の2市のみ。国は、地震やテロといった大規模災害時の消防対応の体制強化と効率化のため、「30万人以上で1本部」という広域化を進めている。東久留米市は2010年度から委託する予定だが、稲城市は単独消防方針を変えていない。(岡本裕輔)

 ◆東久留米市

 人口約11万4000人の東久留米市。市消防本部は支所を2か所抱え、ポンプ車4台、救急車3台(予備含む)を保有する。職員は119人で、年間経費は約14億円。火災件数は年間40件弱(過去10年の平均)。

 市が委託を決めたのは4年前で、「より高度な設備や体制で、市民の安全安心を確保するため」(野崎重弥市長)という。

 消防庁への委託費は、各市町村の基準財政需要額をもとに算出される。同市の場合は、現在の経費とあまり変わらないと試算している。ただ、消防庁の傘下に入るため、消防本部の改修工事費や、消防庁と同じコンピューターシステムに変更するための費用などとして新年度予算案に約8億円を計上した。

 現状でも、消防庁と応援協定を結んでおり、大規模火災などの際には近隣署から消防車が駆けつけることになっているが、委託することで「速やかな活動が期待できる」と、百々(とど)義信消防長は説明する。

 委託後は、現在の2交代が3交代となるため、職員にとって体が楽になる。ただ、前沢出張所(前沢4)は廃止される方針だ。

 ◆稲城市

 人口約8万2000人の稲城市では、06年に策定した消防基本計画で、「今後10年程度は市単独」という方針を打ち出している。

 過去10年の年間火災発生件数の平均は26件。市消防本部は、ポンプ車3台と3台の救急車(予備含む)を持っている。消防庁との応援協定のほか、ポンプ車を持つ地元の消防団との連携により、「対応可能」という考え方だ。消防団と「顔の見える関係」を築きやすい面もあるという。

 一方、消防庁に委託した場合、その費用は現在より3億円増の約10億円に上ると見込まれている。石川良一市長は「首長が消防の権限を持ち、災害が起こった際に対処の決定を下せることが大切。委託すると負担も増えるし、単独の方がメリットがある」と述べる。

 2012年度までに広域化を完成させたい都総務局は、「(広域化には)市の同意が必要だが、東久留米市の進行状況を伝えるなどして、理解を求めていきたい」としている。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyotama/news/20090221-OYT8T00035.htm