【プーケット(タイ南部)21日共同】日本政府は二十一日、世界的な経済混乱が続く中でインドネシアが危機に陥るのを未然に防ぐため、金融支援を行うことで同国と合意した。緊急時に外貨を融通する枠を現在の六十億ドルから百二十億ドル(約一兆一千二百億円)に倍増、インドネシア政府が日本の債券市場で発行する円建て外債(サムライ債)に最大十五億ドルの保証を付ける。
インドネシアは通貨ルピアの価格下落が続き、外貨不足に陥る懸念も指摘されている。一九九七年からのアジア通貨危機のような大規模な混乱を回避するため、豊富な外貨準備を持つ日本が支援し、市場の不安を抑えることにした。
末松信介財務政務官とインドネシアのムルヤニ財務相がタイのプーケット島で会談、共同声明を発表した。日本側は「インドネシア経済は基本的に順調で、あくまでも予防的な措置として行う」と強調。ムルヤニ財務相は「強固な水準の外貨準備を補完する」と支援を歓迎した。
外貨融通枠は、東南アジア諸国連合と日中韓(ASEANプラス3)が二国間で締結を進めている通貨交換協定(チェンマイ・イニシアチブ)の一つ。外貨が一斉に国外に逃避するようなときに、資金支援する。
サムライ債は三月以降発行する予定で、日本は国際協力銀行(JBIC)を通じ全額を保証する。インドネシアのサムライ債発行は初めて。同国が市場で資金調達できない事態に備え、世界銀行などが検討している緊急の共同融資制度にも日本が参加する。
ASEANプラス3は、二国間で結んできた通貨交換協定を一つの多国間協定に書き換え、迅速に支援できるようにすることを検討中。二十二日の財務相会議では、資金規模をこれまで計画していた八百億ドルから一・五倍の千二百億ドルに増やすことで合意を目指す。