香川県立中央病院(高松市)の受精卵取り違え事故で、人工妊娠中絶した二十代女性に移植された受精卵は、廃棄しようと作業台に放置していた別の患者の受精卵だった可能性が高いことが二十一日、分かった。
この受精卵が入っていた培養容器(シャーレ)のふたは捨てたといい、香川県は、なぜ患者名が記されたふただけを捨て、本体をそのままにしていたのかを含め、再発防止に向け一連の経緯を詳しく調べる。
病院や産婦人科の
川田医師は九月十八日、別の患者の受精卵が入った複数のシャーレを台上に出して作業。うち一つは不要と判断し、ふたを捨て、台の上に置いたままにしていた。次に女性の受精卵が入った複数のシャーレを出し、作業するうちに混在し、すべてを女性のシャーレとして保管した。新たに女性の名前のシールを張ったふたを作ったかどうかは不明という。
川田医師は同日、本人の受精卵を女性に移植、さらに二日後の二十日、別の患者とみられるシャーレの受精卵を移植した。
十月七日、検査で妊娠が判明。しかし、十六日ごろ、「これまでの発育状態から考えると、九月二十日に移植した方は良く育ち過ぎだったのではないか」との疑念がわき、自ら作業手順を検証した結果、ミスした疑いが極めて濃いことに気付いたという。