民事再生法適用を申請した不動産開発のアーバンコーポレイション(広島市中区)の再生計画案に対し、手続きを監督する立場にある監督委員が「役員退任は当然だが、退任だけで経営責任を果たしたとは言えない」とする異例の意見書を東京地裁に提出したことが20日、分かった。3月の債権者集会で諮る再生計画案の議決に影響する可能性もある。
監督委員の弁護士が意見書で問題視したのは、アーバンが昨年6月に発表したBNPパリバ証券への転換社債発行についての役員の責任。300億円としていた調達額は両社間の非公開のスワップ契約で91億円にとどまった。アーバンの経営破綻(はたん)後、金融庁は金融商品取引法に基づき課徴金の納付命令を出した。
意見書によると、アーバンの役員はパリバ側からの契約の開示義務はないとの説明を信じたとして責任を否定。しかし、監督委員は「株式を公開している企業経営者の通常の知識・経験があれば(開示義務を)当然認識できる」とし、「再生計画案は役員の開示責任に一言も触れられていない」と指摘した。
監督委員の弁護士事務所は「監督委員という立場上、取材には応じられない」。アーバンは「監督委員の意見を重く受け止めているが、裁判所に提出された意見書にコメントする立場にない」としている。