昨年の広島県内の労働者の実質賃金は前年と比べて3.3%減り、データ比較が可能な1991年以降で最大の落ち込みとなったことが、県の勤労統計調査(速報)で分かった。景気悪化に伴う給与の減少と物価上昇が重なり、家計を一段と圧迫した。
調査は、従業員5人以上の約900事業所を無作為に抽出して毎月実施。実質賃金は、ボーナスなどを除く給与から物価変動分を考慮して算出した。
昨年の労働者1人当たりの月平均給与は、26万5240円と前年比で1.5%減った。一方、消費者物価指数は原油・原材料高の影響で2.0%上昇と高い伸びを示したため、実質賃金は3.3%ダウン。これまでで最高だった99年の減少率(1.4%)を大きく上回った。
業種別の給与の減少率は、卸売・小売業が4.5%と最も高く、▽サービス業3.2%▽製造業0.6%—の順。医療・福祉は2.0%増えた。ボーナスなどを含む月平均の現金給与総額(32万7066円)も前年比1.7%減となり、4年ぶりにマイナスに転じた。