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2009年02月20日(金) 22時46分

受精卵取り違え、患者に謝罪は中絶から2か月後読売新聞

香川県庁で記者会見する香川県立中央病院産婦人科の川田清弥医師(左)ら=吉野拓也撮影

 香川県立中央病院(高松市)で昨年9月、不妊治療で体外受精した20歳代の女性が、別の患者の受精卵を移植された疑いがあるとして人工中絶した問題で、同病院が、受精卵を使われた40歳代の患者に謝罪したのは、20歳代の女性が中絶してから2か月以上たった今年1月下旬だったことがわかった。

 病院によると、20歳代の女性に対し、昨年11月7日に取り違えの可能性を説明したが、40歳代の患者には何も事情を伝えていなかった。この患者は女性と同じ日に体外受精した。

 40歳代の患者の夫婦には1月25日になって、松本祐蔵院長や担当医の川田清弥医師(61)ら4人が説明。その際、患者は特に動揺した様子は見せなかったが、人工中絶した女性の話になると、「お気の毒でした」と気遣ったという。

 謝罪が遅れた理由について、病院側は「(患者が)体調を崩されていたので、回復を待っていた」と釈明している。

 川田医師と松本院長は20日夜、香川県庁で記者会見し、「ご家族と、ご本人、ご主人に心よりおわび申し上げます」と、20歳代の女性らに改めて謝罪した。

 この問題を受け、高松市保健所は20日、医療法に基づき、同病院を立ち入り検査した。同保健所は「医師の初歩的なミスで前例がない事故を犯した可能性が高い。重大な事故」と判断、事故の概要や原因などを記した報告書の提出を求めた。

 香川県職員の立ち会いで、同保健所職員5人が、松本院長や産婦人科の責任者らから約40分、事情を聞いた。

 松本院長らは、別の患者の受精卵が女性に移植された経緯や、問題発覚後の今年1月に初めて対策を盛り込んだ体外受精作業マニュアルを作成、受精卵を取り扱う際は2人以上で確認することなど、再発防止に努めていることを説明。保健所に今回の問題を報告しなかったことについては「病院内の医療安全推進委員会などで協議するのに時間がかかった」などと釈明した。

 同保健所は、事故報告書が提出され次第、内容を厚生労働省に報告する。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090220-OYT1T00923.htm