犯罪被害者や遺族が刑事裁判で被告に直接質問し、求刑への意見も述べられる「被害者参加制度」が適用された裁判の初公判が19日、福岡地裁であった。同制度の適用が明らかになった公判は県内では初めて。車が自転車をはねた自動車運転過失傷害事件の裁判で、はねられて重傷を負った筑紫野市の女性(36)本人が参加した。今後の公判では、弁護士を通じて被告人に質問し、謝罪や損害賠償の意思などを確認するという。
起訴状や冒頭陳述によると、被告人の同市の無職女(70)は昨年9月、同市内の交差点で運転中に一時停止せずに右折。同乗者と会話をしていて女性の自転車に気付かずにはね、腰の骨を折るなど全治1年以上の重傷を負わせたとされる。
初公判では、女性は弁護士とともに検察官の横に座り、被告人の罪状認否や検察官の冒頭陳述などを聞いた。被告人質問などは、3月23日の次回公判で行われる予定で、この日は女性が発言する場面はなかった。
女性は公判後に記者会見し、参加した理由について、〈1〉事故後の加害者側の発言などに不満があり、反省の意思を確かめたい〈2〉長期間の治療になるため、被害が本当に賠償されるか確認したい——などを挙げた。法廷で被告人と対面した際は、「事故の恐怖がよみがえった」という。一方で、「裁判の流れを自分の目で見て納得したい。知らなかった事実も確認できたので、参加してよかった」と話していた。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/fukuoka/news/20090219-OYT8T01034.htm