県バス・タクシー協会加盟のタクシーのうち、法人が所有する1288台の約4割が、タクシー強盗の予防対策として今年度末までに運転席の仕切り板を設置する見通しであることが分かった。(遠藤信葉)
同協会は56法人と個人1組合が加盟。「コミュニケーションに支障が出る」と設置をためらう会社が多く、昨年3月現在で仕切り板を設置しているのは338台(26・2%)と、全国平均の50・5%を大きく下回っていた。しかし、全国でタクシー強盗が続発し、設置に踏み切る会社が増えた。
佐賀市の佐賀タクシーでは、約10年前に同市でタクシー強盗が起きたのをきっかけに、所有する68台のうち介護タクシーやハイヤーなど一部を除く約8割に仕切り板を設置している。ハイヤーなども含め、全車に全地球測位システム(GPS)と連動した緊急通報装置を装備。スイッチを押すと天井の防犯灯が点滅し、無線室で車内のやりとりも聞ける。
設置率が全国平均を下回っていることについて、県警生活安全企画課は「設置には費用がかかり、常連客の利用しかないなど地域によって事情も異なるので強制はできない。仕切り板は有効な防犯の手段の一つだが、教育の徹底などほかの手段でも防犯対策を講じてほしい」としている。
◆…佐賀署が防犯研修会…◆
佐賀署が今月、管内の協会加盟24事業所を対象に行った防犯対策研修会には、経営者や管理者ら約60人が参加。井原和明・同署生活安全課長が〈1〉始業点検で、異常を知らせる車外防犯灯の操作方法と作動するかどうかの確認をする〈2〉客を乗車させるときは顔を見て声をかける〈3〉長距離移動の際にはこまめに無線連絡する——などの予防対策を説明した。
実際に車両を使っての強盗対応訓練では、犯人役の署員が運転手にナイフを突き付け、「金を出せ」などと脅して羽交い締めにしたが、運転手は防犯灯を点灯し、冷静に対応した。
県警刑事企画課によると、過去10年間に県内で発生したタクシー強盗は6件。うち2件が強盗致傷事件という。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/saga/news/20090219-OYT8T01052.htm