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2009年02月20日(金) 00時00分

長崎市議会の政治倫理条例に見直し論再燃読売新聞

 長崎市議会で議員政治倫理条例を見直す動きが出ている。親族企業の市発注事業の請負辞退を求めた規定が「厳しすぎる」との声があるためで、議長の諮問機関・議会制度改革推進会議(田中洋一座長)は19日、条例改正の調査検討を求めた答申案を了承した。議員の親族企業が絡む事件を受けて制定された条例だけに、識者からは見直しに疑問の声も出ている。(池田亮)

 条例は、2002年に市議5人が、市幹部から市発注工事の入札の最低制限価格などを聞き出し、親族の業者に漏らすなどした事件を受け、03年に全会一致で制定。議員の配偶者や2親等以内の親族が役員を務めるなど実質的に経営に関与している企業については、「市に対する請負を辞退するよう努めなければならない」とし、条例順守の宣誓書提出も義務づけている。

 その後、05年に見直しを求める声が上がったが、「条例を制定したばかりで時期尚早」として、見送られた。さらに、07年の改選後は、「親族の企業経営への影響が大きすぎる」「職業選択の自由に反する」などとして、4議員が宣誓書の提出を拒否している。

 同推進会議では、「一定の年月が経過しており、検証すべき」「全会一致で制定しており、見直しは不要」などの意見が出されたが、この日、賛否両論を併記したうえで、「調査検討する機関を設けて議論すべき」とする座長案が示され、了承された。

 当選後、親族が受注企業の役員に昇格したため、宣誓書を提出していないという議員は、「親族は会社の世話になっている立場なのに、会社に『市の事業を辞退してくれ』なんて言えない」と主張する。

 一方、別の議員は「親族企業については、事件で最も問題となった点。厳しくすることはあっても緩和するべきではない」と見直しには慎重な姿勢をみせる。

 政治倫理条例に詳しい斎藤文男・九州大名誉教授は「実際に事件が起きており、こうした規定は、襟を正すという意味では当然。自分たちで決めた条例を守れないから、変えようというのは筋違い」と指摘している。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nagasaki/news/20090220-OYT8T00151.htm