香川県立中央病院(高松市)で昨年、不妊治療を受けた20代女性が別の患者の受精卵を移植され、人工中絶した問題で、担当した男性医師(61)が20日朝、共同通信の取材に応じ、「わたしのミス。償いようがない」と謝罪の言葉を口にした。
医師は昨年9月、女性の受精卵が入った複数の容器(シャーレ)を作業台に並べ発育状況を確認した際、台の上にあった別の女性患者の容器を女性のものと誤って取り違えたとされる。
別の患者の容器が台にあったことは「たまたま1個だけ置いてあった」と釈明。取り違えが発生したことには「ダブルチェックされていなかったのが原因。すべてわたしの責任だ」と深刻な表情を浮かべた。
医師は同病院で約1000例の体外受精を実施してきたが、これまで同様の作業は「検査技師と一緒にやることもあったが、1人でやることもあった」という。
経緯を説明した際の女性の様子については「大変落胆されていた。ショックを受けていた」と振り返った。女性と夫が損害賠償を求め高松地裁に提訴したことには「あちら側の事情ですので…」と言葉少な。問題以降、院内では作業の際、必ずダブルチェックをするようになったといい、「今後は症例を吟味しながら真剣に取り組んでいきたい」と語った。
出勤途中の医師は終始うつむきがちで、質問に小さな声で答えた。
(2009年2月20日11時09分 スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090220-OHT1T00161.htm