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2009年02月20日(金) 06時02分

オバマ大統領を射殺チンパンジー扱い…NYポストスポーツ報知

 米タブロイド紙ニューヨーク・ポストが18日付で掲載した漫画が波紋を広げている。この漫画は米東部コネティカット州で女性を襲い、射殺されたチンパンジーをオバマ米大統領になぞらえて戯画化したもの。読者からは「黒人に対する人種差別だ」との抗議が相次ぎ、同紙の不買運動を呼びかける声も上がっている。

 問題の漫画は、銃で胸に2発の銃弾を撃ち込まれ、あおむけに倒れ、舌を出して即死したチンパンジーの前で「次の景気対策法を書いてもらう人をみつけないとな」と驚きの表情をした2人の警察官が話している、というもの。

 米東部コネティカット州では16日、約90キロあるチンパンジーのトラビスが飼い主の友人の女性(55)を襲撃。顔や手などに重傷を負わせ、警察官に射殺される事件が発生したばかり。オバマ大統領が17日に景気対策法に署名した翌日に漫画が掲載されており、このチンパンジーが同大統領を指すのは明らかだ。

 同紙はポルノやゴシップ満載のいわゆるタブロイド紙。掲載直後から、読者からの抗議の電話などが殺到、謝罪を求めたり、不買運動に発展している。同紙はホームページでこの漫画を閲覧できない措置を取っている。

 公民権運動家のアル・シャープトン氏は「人種差別主義者はアフリカ系米国人をサルになぞらえてきた歴史がある」と指摘。アダムス・ニューヨーク州上院議員は「黒人がリンチされた時代に逆行するものだ」と批判した。

 漫画を描いたショーン・ディロナス氏はCNNの電話取材に応じ、「ばかばかしい。私がオバマ大統領を射殺すべきだと言っていると、本気で思うのか。この漫画がそのようなことを表しているとは全くいえない」と反論。ニューヨーク・ポストのアラン編集長も「(漫画は)景気回復を目指す米政府の取り組みを風刺したもので、時事ニュースの単純なパロディーだ」と釈明している。

 2008年6月には、日本の携帯電話会社「イー・モバイル」社のCMが「人種差別」として、問題視された。同社のCMは、背広姿のサルが選挙集会の演壇に登場。観衆はオバマ陣営の合言葉になった「CHANGE」のプラカードを掲げ、ナレーションも「チェンジ」と叫ぶというもの。抗議を受けたため、CMの放送を中止している。

(2009年2月20日06時02分  スポーツ報知)

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090220-OHT1T00086.htm