19日の衆院予算委員会で麻生太郎首相(68)は、もうろう会見で中川昭一前財務相(55)が引責辞任した問題をめぐって任命責任を認めて陳謝したが、「(中川氏は)私の前では酒を飲んだことない」とかばった。酒絡みの武勇伝が絶えない盟友の“正体”を知らぬ存ぜぬで押し通すと思いきや、途中で「会見のような状態は一度もない」と微妙に軌道修正。ここでもブレブレで、野党からブーイングを浴びた。辞任を認めた理由も、あくまで「体調問題」とするなど危機感の低さを露呈。求心力低下の底は見えてこない。
「本当かよ」場内に失笑 強まる逆風に、答弁もヨレヨレ状態だ。報道や動画サイトで世界中に広まった、泥酔を思わせる中川氏の醜態会見をめぐり、衆院予算委で同氏の酒絡みのうわさを聞かれた麻生首相は語気を強めて語った。
「中川氏とメシを食べたことは何十回とあるが、私の前で酒を飲んだことは私の記憶ではありません。ないんです。私の場合は」
盟友関係でありながら酒好きの中川氏の本来の姿を知らないという苦しすぎる弁明。野党席からは「本当?」と失笑交じりのヤジが飛んだ。
就任後、中川氏が首相のホテルのバー通いにお供したことは一度もない。だが、数々の武勇伝は耳にしていたため「酒の話は注意しておかなきゃだめよ」と財務相任命直後の中川氏にクギを刺していたことを明かした。
ところが、質問が続くとお約束の発言のぶれが出た。「20回以上、中川氏と酒席を同席したが、会見のような状態は一度もない」と軌道修正。「酒を飲んだことはない」発言は、中川氏の大トラの現場に立ち会ったことがないという意味だったようだ。
会見について遺憾の意を表し、任命責任も認めた。一時続投を指示したことに関し「名誉挽回(ばんかい)の機会をきちんと与えた方がいいと思った」と釈明。盟友に温情を加えたが、結局、辞任を認めたことには「一番の問題は体調に端を発している。あの会見も体調問題から始まった。体調が良ければリカバーもできた」と答弁。辞任を了承した真意は、会見の責任ではなく、体調問題と本人の辞意にあった、とした。
今回の審議で幕引きを図りたい考えの首相だが、野党側は「説明不足」と反発を続け、24日の日米首脳会談前の09年度本予算案の衆院通過は断念せざるを得なくなった。一方、自民党内でも若手が公然と退陣論を唱え、小泉発言も重なり、求心力低下は底割れ状態だ。
それでも麻生首相は意気軒高。「自身の手で解散するつもりか」との記者団の質問に「はい」ときっぱり答えた。首相交代論を抑え込み、衆院解散・総選挙に臨む考えを重ねて示したが、やせ我慢をいつまで続けられるのか…。
(2009年2月20日06時02分 スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090220-OHT1T00084.htm