不妊治療患者の受精卵取り違え事故を起こした香川県立中央病院(高松市)が、ミスが判明した昨年10月以降、医療安全の向上を目的に国の制度で求められている医療事故報告を全くしていないことが20日、分かった。
厚生労働省や日本医師会が出資する「財団法人日本医療機能評価機構」(東京)の制度で、報告は具体的な医療事故を収集して背景分析し、再発防止に役立てるのが狙い。
発生から2週間以内の報告が求められるが、病院側は受精卵取り違えや20代女性が受けた中絶処置について「報告事例に該当しないと判断し報告しなかった」と説明している。
同機構は「法的な拘束力はないが、制度に参加した以上、報告義務を果たしてほしい」としている。
病院事務局によると、産婦人科の川田清弥医師(61)が病院長にミスを報告した10月31日以降、受精卵取り違えを医療事故として報告するかどうか、数回にわたって内部で議論。その結果、人工中絶の処置は、報告対象とされる「明らかに誤った医療行為や管理上の問題により濃厚な処置や治療を要した事例」に該当しないと判断したという。