香川県立中央病院(高松市)で不妊治療を受けた20代女性が受精卵を取り違えて移植された事故で、誤って受精卵を使われた相手方の夫婦に対し、病院側がミスの判明から3カ月後の今年1月まで、取り違えの事実を伝えていなかったことが20日、分かった。
同病院の松本祐蔵院長らが明らかにした。受精卵は同病院で不妊治療を受けていた高松市の40代女性と夫との間にできたもので、治療に使われれば赤ちゃんが生まれた可能性がある。夫婦は1月25日に病院から説明を受け「残念だった」と話したという。夫婦は現在は治療をやめている。
病院によると、受精卵は産婦人科の川田清弥医師(61)が昨年9月、20代女性に誤って移植。10月にミスに気付き、11月に中絶した。病院側はミスが判明した時点で、夫婦にいつ知らせるかを内部で検討したが、「20代女性がこのまま出産を望む可能性もある」などの意見が出て結論が出ず、先延ばしになったという。
中絶後も知らせなかった理由について、松本院長は「20代女性や家族が夫婦への告知を望まなかった」と説明している。
川田医師は同病院で1993年から1人で不妊治療を手掛けてきた。