札幌市議に議会出席などに伴って支払われていた「費用弁償」は報酬の二重取りとして、札幌市南区の主婦大坪富美子さん(65)が、市議と元市議計67人に計約3600万円を返還させるよう上田文雄市長に求めた訴訟の控訴審判決で、札幌高裁は20日、請求を退けた1審判決を変更し、全額を返還請求するよう上田市長に命じた。
1審の札幌地裁判決は「支給は議会の裁量の範囲内」としたが、末永進裁判長は判決理由で「必要と見込まれる費用の3倍の日額が支給されており、合理的裁量の範囲外だ」と指摘した。
費用弁償をめぐっては1990年12月、最高裁が「一定額を支給することが許され、支給理由や額は条例を定める議会の裁量に委ねられる」と認定。この日の判決は最高裁判決を踏まえつつ、支給額が経費として合理的な範囲でなくては認められないとした。