ソマリア沖の海賊対策で自衛隊法の海上警備行動に基づき3月上旬にも海上自衛隊の護衛艦が派遣されるのを前に、海自と海上保安庁の初の合同訓練が20日、広島県の呉港沖で行われた。
派遣されるのと同型の護衛艦と哨戒ヘリコプター、海保の巡視船艇2隻と計約250人が参加。護衛艦には、海自の特殊部隊「特別警備隊」の隊員のほか、海賊の身柄拘束や海賊行為の撮影など証拠収集のため、司法警察権を持つ海上保安官が同乗した。
訓練は(1)海賊船が日本船籍の商船に接近(2)投降した海賊の身柄を拘束−との想定で実施。救助要請を受けた護衛艦が「海賊船」に見立てた巡視艇に発光信号や無線で停船を呼び掛け、「商船」役の巡視船との間に割って入って追い払うなど、洋上での対処手順や連携を確認した。
また海保職員が扮する海賊を海自隊員が高速ボートで護衛艦に連行し、海上保安官に引き渡す訓練も行われた。
海自は今月中旬、豊後水道周辺で、派遣予定の護衛艦「さざなみ」(4、650トン)と「さみだれ」(4、550トン)や哨戒ヘリによる海上射撃訓練を実施。今回は訓練海域の制約から武器を使用する場面は想定に盛り込まれなかった。