愛知県春日井市の許可を受けたごみ収集運搬業者の役員らが18日、廃棄物処理法違反の疑いで春日井署に逮捕された不法投棄事件。舞台となった市運営の一般ごみ処理場「クリーンセンター」では、最近10年間で一般事業ごみの持ち込み量が6割増え、市がチェック態勢を強化した途端に3割減少するという乱高下があり、同様の不法投棄が常態化していたことがうかがえる。
一般ごみに廃プラスチックや木くずなどの産廃を混ぜてパッカー車に入れ、同センターの可燃ごみピットに捨てる大胆な手口。逮捕された「エコジャパン」(同市知多町)社長の大平功容疑者(43)は1月下旬、中日新聞の取材に対し「ほかの業者も同じことをやっている」と困惑気味に話していた。
市によると、同センターへの事業ごみ持ち込み量は1998年から2007年の間に62%増加。市は家庭ごみが減る中で事業ごみが急増する原因を調べるために、06年度から搬入物の抜き打ち検査を年数回から年25回ほどに強化した。
検査日には、収集業者の4割ほどが一般ごみに段ボールなどの資源物や、廃プラなどの産廃を混ぜる違反をしていたという。違反業者には行政指導を行い、事業ごみの持ち込み量は07年4−12月に4万400トンだったのが、08年同期には2万8200トンまで30%減少した。
同センターは、市の許可業者が使うごみピットには職員が1人しかいない監視体制で、時間によっては無人になることもある。市の担当者は「許可業者という信頼があり、監視が甘かった」と話す。
ピットの構造も不法投棄を助長した。5カ所ある投入口のうち、内容物を事前に確認できる棚を設けているのは1カ所だけ。残りは投入口にパッカー車を付けて、深さ23メートルのピットにそのまま落とす。関係者は「産廃を混ぜてもピットに落とせば分からない」と明かす。
一般ごみを扱う同センターは、産廃処理業者に引き渡すよりも処分料が半額以下で済む。監視体制の甘さにつけ込んで、不正が横行した形だ。市ごみ減量推進課は「許可業者への説明会を開いて指導を徹底し、抜き打ち検査の強化も続けて監視体制を整えたい」と話している。
(中日新聞)