被害者参加制度を適用したことが公表され、初めて被害者側が立ち会った交通死亡事故の公判で、自動車運転過失致死罪に問われた海野尚康被告(66)に対し、東京地裁は20日、禁固1年6月、執行猶予5年(求刑禁固1年6月)の判決を言い渡した。
小池勝雅裁判長は「被告の過失は大きいが、酒気帯びなどの無謀運転が原因ではなく、車を運転する誰もが犯す可能性のある事故だった。実刑は重すぎ、社会の中で更生を促すのが相当だ」と、執行猶予期間として最長の5年を付けた理由を説明した。
1月23日の初公判には、死亡した男性=当時(34)=の妻と兄が参加。妻は「被告は自宅に一度来たが『2時間かかった。警察に言われたから来た』と薄ら笑いをしていた。反省しておらず実刑判決を強く望む」と求刑の意見を述べた。被告は起訴事実を認めていた。
判決によると、海野被告は東京都千代田区で昨年8月1日、トラックで交差点を右折する際、直進のバイクに衝突。男性を死亡させた。制度が開始された同12月1日、在宅起訴された。