奈良県は20日、特別会計の剰余金のうち計15億円を、2009年度予算案に繰り入れることを明らかにした。“埋蔵金”ともいえる剰余金の活用について、県は「都道府県レベルでの活用は聞いたことがない」としており、極めて珍しい試みといえそうだ。
県は単独事業の土地先行取得のために設置していた土地開発基金も廃止し、埋蔵金と合わせて計48億円を捻出。地方交付税などの大幅増額も追い風に、1989年の運用開始以来初めて財政調整基金を取り崩さずに予算を組めた。
県は09年度の予算編成で、人件費抑制など歳出削減を図る一方で、県の資産などの有効活用を検討。3つの特別会計に相当額の剰余金があることが分かり、一部を繰り入れても運用に支障はないと判断した。
埋蔵金として使うのは貸付金に関する特別会計で、中小企業関連12億円、農業関連2億円、林業関連1億円。不況の影響などで貸し付けが低水準にとどまる一方、過去の貸付金の返還で剰余金が膨らんでいるという。
県は「税収が落ち込み予算編成に向けて相当な危機感があった。議会からも指摘があり前向きに取り組んだ」としている。