知的障害や自閉症を抱える人たちが入所施設で暮らす様子を記録したドキュメンタリー映画「あした天気になる?」が完成した。4月に文京区で上映会が行われる。社会との接点が少なくなりがちな障害者たちのことを広く伝える狙いという。(杉野謙太郎)
制作は「ピース・クリエイト」(江東区)。監督の宮崎信恵さん(66)は、明治期に国内初の知的障害者向け施設「滝乃川学園」の運営に尽力した石井筆子をテーマに、2006年に映画「無名の人」を制作。その後は、障害者たちの現状を訴える映画を撮りたいと考えていたという。
宮崎さんたちは07年11月から、約30人が入所する福岡県鞍手町の施設「サンガーデン鞍手」を取材。クッキーを焼いたり廃品のアルミ缶を回収したりなどの施設の作業や、日常の暮らしの様子を約40日間かけて撮影し、85分間の作品にまとめた。
題名の「あした天気になる?」は、作品に登場する散歩好きの入所者の口癖。周囲に天気について尋ねる言葉だが、宮崎さんは「『あしたはもっと住み良い社会になるの?』と私たちが問いかけられているという思いも込めた」と話す。
親子関係も作品の重要なテーマだ。パニックを起こして自分の頭をたたいたり、母親の腕にかみついたりなど、入所者たちが激しい自傷行為を行う様子にも触れつつ、それでも「(子が)かわいくてたまらない」と語る母親のインタビューを収めた。
「子育ての大変さを通じて、親子の本当のきずなが生まれる。孤立したと感じている若い母親たちには『逃げないで』と伝えたい」。宮崎さんは訴える。
上映会は4月1日、文京区の文京シビックホールで午後7時から。前売り1000円、当日1200円(小中高校生は前売り、当日とも800円)。問い合わせや入場券購入はピース・クリエイト(電)3699・4883、ファクス3699・4407、http://www.peace‐create.bz‐office.net/
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyo23/news/20090220-OYT8T00132.htm