厚生労働省は20日、施設入所や就労支援など障害福祉サービスを提供する事業所へ支払う報酬について、今年4月からの改定案を発表した。重度障害者への訪問介護など地域での生活を支えるサービスや、介護福祉士といった専門職を手厚く配置した事業所に報酬を上乗せする。
報酬改定は2006年の障害者自立支援法施行後、初めて。全体では5・1%の引き上げで、それに伴う必要財源230億円を09年度予算案に計上した。高齢者介護と同様、障害福祉の現場も人手不足にあえいでいるため、賃金アップも図る。
自立支援法ではサービス利用が原則一割自己負担となったため、本来なら報酬アップで利用者も負担増となるが、厚労省は「軽減措置を講じており、比較的高所得の人以外は負担はほとんど増えない」としている。改定案は一般の意見を募った後、3月下旬に正式に決める。
自立支援法では昼間と夜間のサービスを分けるなど事業や報酬を新しい体系に変更。各事業所に対し11年度末までに移行するよう定めていることから、新体系の事業に手厚く配分した。
例えば(1)職員に占める介護福祉士の割合が30%以上(2)重度の利用者が30%以上−という2条件を満たす訪問系サービスには報酬を10%加算。効率化が難しい中山間地や小規模の事業所へも上乗せする。