政府は20日、今国会に提出する公文書管理法案をまとめた。公文書の適切な管理・保存により「国民への説明責務を全うする」と明記。首相の判断で各省庁の文書管理状況を把握する実地調査を行い、改善を勧告できる規定を新設した。内閣府と総務省に分かれている文書管理全体の取りまとめは、内閣府に一元化する。
年金記録などのずさんな保存実態が発覚したことを受け、福田康夫前首相が公文書管理の在り方をめぐり検討を指示。政府の有識者会議は昨年11月、法案の土台となった最終報告を麻生太郎首相に提出した。政府は2011年4月の施行を目指している。
法案は各省庁に対し、文書の保存期間やその後の取り扱いを「行政文書ファイル管理簿」に記載し、首相に年1回報告することを義務付けた。外部有識者による「公文書管理委員会」を内閣府に設置、適切な文書管理に関する答申を受ける。歴史資料として貴重な公文書は原則として国立公文書館などに移管。国民が利用しやすくするための請求権も盛り込んだ。