墨田区向島で、若き芸術家にNPO法人「向島学会」が活動拠点を提供して、街の活性化を図る試みが始まっている。拠点は「アートスポット鳩や」。現在、岡山県出身の芸術家、三宅航太郎さん(26)が「おみくじ」にヒントを得た食べ歩きプランを練っている。(伊藤史彦)
「鳩や」は東武伊勢崎線曳舟駅近くの「鳩の街通り商店街」にある木造2階建てアパート「チャレンジスポット!鈴木荘」の一室に昨年9月、お目見えした。
鈴木荘は同商店街振興組合が2008年6月から期間限定のショップやアトリエとして貸し出している。現在、木工や陶器アクセサリーなど5組が利用している。向島の活性化を目指す「向島学会」も一室を借り上げ、街の活性化策を採用された若手芸術家の拠点に提供している。
三宅さんが提案するのは向島界隈(かいわい)の飲食店を応援しようと、おみくじスタイルの街歩き「おしょくじ」。地域の飲食店から箸(はし)を集め、おみくじの棒にする。箸には番号をふって、鈴木荘を訪れた人が「おしょくじ」を引く。出た番号の札紙をもらうと、お店のPRや地図、くじ持参者への「特典」などが書いてある。三宅さんは鈴木荘にくじを置く3月7日までに協力店50店確保を目標に、近隣の飲食店を訪ね歩いている。
今どき、飲食店情報は雑誌やインターネットで手に入る。くじにした狙いを、三宅さんは「50分の1の偶然で、店と人が出会う面白さを出したい」と語る。
「鳩や」で活動する芸術家は三宅さんが2人目。向島学会の曽我高明さん(51)は「外から来た人の知恵を借りて街に刺激を与えてもらう」と話す。今後も公募する予定で、「芸術家に一定の時間を街と共有してもらい、文化発信地としていきたい」と話している。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyo23/news/20090220-OYT8T00135.htm