農林中央金庫は20日、上野博史理事長(70)が退任し、河野良雄副理事長(60)が4月1日付で昇格する人事を正式発表した。農林中金は金融危機の影響で多額の損失を計上、上野氏は6月までの任期を待たずに3月31日付で退任する。
農林中金は、総額で最大1兆9056億円に上る増資を3月末までに実施することも発表。国内金融機関の資本調達額としては最大規模になる。
農林中金の歴代理事長は農林水産省事務次官OBだったが、初の生え抜きトップとなる。
東京都内で記者会見した上野氏は「09年3月期に赤字となるリスクも否定できないが、今回の資本増強で財務の健全化にめどが付いた」などと任期途中で辞任する理由を説明した。
河野氏は「(資金運用の)国際分散投資は安全運転で進め、世界的に存在感がある金融機関をつくっていきたい」と抱負を述べた。