【ウィーン20日共同】北朝鮮の支援で秘密裏に原子炉建設中だったとされるシリアの施設をイスラエルが空爆した問題で、国際原子力機関(IAEA)に近い外交筋は19日、IAEAが昨年6月に行った現地調査で、この施設跡地などから原子炉の材料ともなる黒鉛とステンレス鋼が微量ながら検出されたことを明らかにした。
IAEAは詳細に分析中で、外交筋は「核活動との関連を判断するには時期尚早」としているが、原子炉建設疑惑が一層深まったともいえる。
また同筋は、これまでに施設跡地の周辺などで環境サンプルから検出されていた微量の化学処理された天然ウランが、その後の分析でさらに見つかり、検出数が約40件から約80件に増えたことも明らかにした。
同筋は、検出されたウランはイスラエルの空爆時の武器に含まれていたとシリアが主張していることについて、通常弾薬に用いられるウランとは同位体組成などが一致しないことなどから、シリアの主張は「極めて可能性が低い」と指摘した。
IAEAのエルバラダイ事務局長が19日に理事会各国に配布したシリア核問題の報告書もこの点を指摘するとともに、IAEAの照会に対してイスラエルが否定したことを明らかにした。