【ウィーン19日共同】国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長は19日、イランがウラン濃縮活動を継続し、核開発疑惑の調査に協力していないとする報告書を理事会(日米など35カ国)に配布した。
報告書は過去の核兵器開発疑惑に関するIAEAの調査について、イラン側の協力が十分でないことから「遺憾ながら実質的な進展がない」と指摘した。
オバマ米政権はイランとの対話姿勢を打ち出しているが、イランの濃縮継続には反対している。
報告書によると、イランは中部ナタンツの核施設で遠心分離機をわずかに増やし約4000基で濃縮を行っている。さらに約1500基が試験運転しているほか、約500基が設置作業中。2007年2月から今年1月末までに計約1000キロの低濃縮ウランを製造したという。新型高性能遠心分離機の研究開発も継続している。
事務局長は同日、シリア核問題に関する報告書も配布し、シリア側の情報開示が十分でなく、イスラエルが空爆した施設が、米国が主張する原子炉だったかどうかを判断できない状況とした。