スペインのバルセロナで開催されているGSMA Mobile World Congress 2009(GSMA 2009)は、GoogleにとってAndroidが業界内での地位を固めつつある状況を示す絶好の場となるはずだったが、結局、将来への足掛かりを披露するにとどまった。
GoogleはAndroidに大きな期待を寄せている。というのも、同社がAndroidを発表したのは、スマートフォン開発、携帯電話でのウェブの利用、さらに新たな検索広告の促進が目的だからだ。たしかにAndroidはベイパーウェア(実現の約束されていないソフトウェアまたはハードウェア構想、あるいは宣伝されたものの製品が出荷されずに終ったソフトウェア、ハードウェアのこと)ではない。Googleの強い影響力もあって、他のOSにとっては大きな脅威だ。しかし、今のところAndroidのポテンシャルに現実世界での存在感が追い付いていない状況だ。
GSMAにおけるAndroid関連の最大のニュースは「HTC Magic」の発表だった。HTC Magicは、台湾のHTCが開発した2台目のAndroidモデルだ。1台目のHTC Dreamは、「T-Mobile G1」という名称でより知られている。
Magicは、物理キーボードを搭載するDreamとは異なり、AppleのiPhoneと同様にタッチスクリーンキーボードを搭載する。このMagicは、Vodafoneが英国、スペイン、ドイツ、フランスで独占販売し、さらにイタリアでも非独占的に販売する。
GSMAでは、Googleが高性能でオフライン機能付きのモバイル版Gmailのデモを行い、その際にこのMagicを使用した。
次に興味深かかったAndroid関連のニュースは、中国の通信機器メーカーHuawei Technologiesが披露したiPhoneとよく似たAndroid携帯のモックアップだ。Huaweiは、その携帯を使って実際にソフトウェアを動かすことはなかったが、端末事業部門の責任者を務めるEdward Chen氏によると、同社は2009年第3四半期に発売予定という。
それ以外にはこれといったニュースはなかったが、Sony Ericsson、Motorola、Garminはいずれも2009年内にAndroid端末をリリースすると公約している。サムスンもAndroid携帯電話の公開は控えた。一方、Microsoftは第4四半期にリリース予定のWindows Mobile 6.5を披露した。
GoogleでAndroid開発のリーダーを務めるRich Miner氏は、Android携帯電話が比較的少ないことについて懸念は示さなかった。
Miner氏はインタビューの中で、「今のところ極めて順調と考えている。まだ2008年10月下旬にAndroidのソースコードを公開したばかりだ」と述べ、さらに「われわれは2008年にソフトウェアをリリースすると宣言し、その通り実行した。また、2008年に携帯電話を少なくとも1台はリリースすると宣言し、実際に10月にリリースした」と語った。
その上でMiner氏は、携帯電話の設計には時間がかかると付け加えた。「携帯電話をOEM(相手先ブランド製品の製造メーカー)が製造する場合の設計サイクルについて多少でも理解がある人なら分かるが、設計図から完成まで12〜18カ月はかかる。さらに、現在多くの携帯電話を開発している最中だ。すでに2台目が発表され、2009年内にさらに多くの携帯が発表される予定だ」(Miner氏)
現在、Androidは高性能なスマートフォンに搭載されているが、Miner氏によると、2010年にはより一般的な携帯電話にも搭載され始めるという。
「長期的には、(Androidを)より安価な携帯にも搭載する予定だが、これは最初のバージョンであり、最高クラスのバージョンとして華々しくデビューさせたかった。より一般的な携帯への搭載については、恐らく2010年にローエンドのスマートフォンや高性能携帯への搭載が開始するだろう」と述べた上で、「ただ重要なのは、現在リリースされているのはAndroid 1.0ということだ。われわれはAndroid携帯の1台目と2台目が発売されたことを大変うれしく思う」(CNET Japan)