国土交通省は十九日、全国一万一千五百二十キロの高速道路網構想のうち、東京外郭環状道路(外環道)の世田谷—練馬間(十六キロ)の着工に向けた法定手続きの準備に入った。今春にも国土開発幹線自動車道建設会議を開き、基本計画から着工の前提となる整備計画路線に格上げしたい考えで、格上げされれば一九九九年十二月以来となる。
名古屋環状2号線の名古屋西—飛島間(十二キロ)も、同時に整備計画とするかどうかを検討する考え。これを受け、残りの基本計画区間についても、自治体や自民道路族から早期の格上げと建設を求める声が出そうだ。
政府、与党は二〇〇三年、道路公団民営化に伴って当時の整備計画計九千三百四十二キロまでは建設する方針を確認。構想で残る基本計画などの区間は、小泉純一郎元首相が国会で「白紙」と答弁していた。この白紙区間の建設は初となるだけに、妥当性をめぐって野党から批判も予想される。
外環道の同区間は、約四十メートルの大深度地下にトンネルを掘り、関越道、中央道、東名高速の各路線と接続する事業費一兆六千億円の巨大プロジェクト。費用は地元東京都の負担を伴う国の直轄事業と、中日本高速道路会社による有料道路事業で分担する方向で調整する。
同区間の開通で、都心部の渋滞の解消や緩和による沿道環境が改善すると期待され、国交省側は交通量見込みを基に建設効果は費用の四倍程度と試算、景気対策にもつながるとしている。
また、一六年の夏季五輪の東京招致が実現すれば建設の必要性はさらに高まるとされ、今月十三日には、石原慎太郎東京都知事が金子一義国交相に整備計画への格上げを求めていた。